VR空間で志田未来&花江夏樹が「泣き猫」トーク、コロリドの次回作情報も

「TWINENGINE Conference 2020」の様子。

アニメの企画・プロデュースを手がけるツインエンジンのオンラインイベント「TWINENGINE Conference 2020」が去る4月30日に行われ、映画「泣きたい私は猫をかぶる」より志田未来、花江夏樹、佐藤順一監督、柴山智隆監督、「ペンギン・ハイウェイ」で知られる石田祐康監督らが出演した。

ツインエンジンはフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」初代編集長を務めた山本幸治によって立ち上げられ、TVアニメ「どろろ」や「ヴィンランド・サガ」といった作品を手がけてきた。「TWINENGINE Conference 2020」では、出演者がリモートでVR空間にアクセスし、アバターとして登場。「泣き猫」にまつわるトークや同社の今後の構想についての発表が行われ、その模様がYouTube Liveにて配信された。

「泣き猫」のトークセッションでは、アフレコ時のエピソードが披露された。通常の映画作品のアフレコと異なり、本作では読み合わせの日程が別途用意されていたという。花江は「読み合わせで佐藤監督からディレクションをいただいて、一度持ち帰って練習することができたので、演じるうえではすごくやりやすかったです」と語り、志田は「本読みの時に花江さんがほかのキャラクターのセリフまで読んでくださって、やりやすい環境を作っていただき、本当にありがたかったです」と感謝を述べた。また志田は「泣き猫」について「観終わったあとに大切な人へ『ありがとう』って伝えたくなる作品」とコメントし、花江も「気持ちを伝えたり、一歩前に踏み出すことの大事さを思い出させてくれる作品」と魅力を語った。

また当初の劇場公開から、Netflixでの配信へ変更された同作。ツインエンジンの山本代表は「作品を作った以上、(世に)出していくことが重要だと考えて、配信への切り替えを決めました」と語り、佐藤監督は「劇場上映が終わったあとも何度も観てもらえるように、と思って作ったので、届けられるメッセージは変わらないと思います」と自信を見せた。柴山監督は「個人としては初めての長編監督作で特別な思い入れがあります。志田さんや花江さんの繊細で豊かなお芝居も見応えがありますし、ヨルシカさんに提供いただいた楽曲も本当に素晴らしいので、ぜひ最後まで観ていただけたら」とメッセージを贈った。

続く山本代表と、ツインエンジンに所属する中村健治監督によるトークセッションでは、近年のアニメビジネスを取り巻く環境や、それを踏まえての同社の戦略が語られ、このたびツインエンジンが新法人・EOTA(イオタ)を設立したことが発表された。EOTAにはスタジオコロリド、ジェノスタジオ、Lay-duce、Peakys(ピーキーズ)といったスタジオ、川野達朗が率いるteamヤマヒツヂ、新井陽次郎が設立したFILMONYなどの小規模なクリエイターユニットが所属。プロデューサーとクリエイターが開発段階からタッグを組み、強い企画を生み出すことを目指す。山本代表は設立の理由について「スタジオの状況が厳しくなっている中で、グループで団結して作ることが目的の1つ」と話し、「個人のクリエイターのセンスを薄めずに、ユニークなフィルムを発信していきたい。自分たちの色を存分に出した作品を小さいユニットで作ったり、EOTAというグループで大きい作品を作ったりと、伸び縮みをしやすくする」と続けた。

同社は今後、個人クリエイターとプロデューサーがタッグを組んでオリジナルショート作品を開発していく方針を表明。その第1弾作品となる「クラユカバ」のコーナーでは、同作の監督を務める塚原重義らが出演し、キービジュアルやパイロットフィルムがお披露目された。塚原監督は「構想期間が長く、明文化していない設定が自分の頭の中で膨らみすぎていて、それを制作のメンバーに伝えるのが大変でした」といった裏話も披露。またオリジナルショート作品第2弾として、山元隼一が監督を務める青春コメディ「ボクらのロケットはキミと青春成層圏をこえていく」の制作も発表された。

イベント後半には石田監督が参加し、スタジオコロリドの次回作についての構想も明かされる。団地を舞台にした小学生が主人公の作品であること、また同作を機に自身も団地へ引っ越したことなどが語られた。さらに終盤にはこれまで出演したクリエイターたちが揃い、ツインエンジンの環境についてや、今後のアニメ制作の展望について意見を交わす場面も見られた。